クラス替え 高校生活最後の年を過ごすクラス。 隣に座る彼女と今まで同じクラスになったことは、ない。 その彼女がこちらを見て、微笑んで言う。 「今年一年、よろしくね。蒼井空くん」 僕の名前。なぜ彼女が知っているのか。 驚いて何も返せない僕に彼女は、驚いた? と言って、悪戯が成功した時の子供のように無邪気に、笑った。 僕は本当に驚いていて、何も言えなかった。 僕も、君の名前を知っていると、言えなかった。 窓の外に、君と同じ名の花が咲き誇っていたのをよく憶えている。 next→残暑見舞い 5部作の1。 |