体育祭 夏休みが開けるとすぐ、三日間の学園祭がある。二日間に渡る文化祭は大盛況のうちに、過ぎ去った。 残すは明日の体育祭。高校最後の学園祭に、幕が下りる。 明日の応援合戦で僕のクラスは、男子が女装して、女子が男装をして踊る。 正直僕の女装はなんとも言い難いものがあったけれど、彼女の男装は、少し倒錯的な感じがした。 衣装をしげしげと眺めながら、彼女は言う。 「私、男になりたかったな。だって、そしたら、ずっと一緒にいられるのに」 誰と? と僕が聞くより先に、彼女が続けた。 「でも、空が女じゃ意味ないね」 逆光で彼女の顔は見えなかった。 ねぐらへと帰る鳥の、やけに綺麗な編隊だけが焼きついている。 next→大雪 5部作の3。 |